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そろそろ卒論を書き始めねばなるまい。え、もう?と思われる方もいるだろうが、論文というのは意外や意外に書くのに時間がかかるのだ。そのうえ、うちの講座は英語で卒論を書け、と言われておる。まったくやっかいな話である。
今日はとりあえず、実験方法の部分を書いておったのだが。これもまた非常にやっかいである。自分が実験した時系列順に書けばよかろう、と思っておったのだが、これだと筋のつながりが悪い、と指摘されたのだ。しかもあらかた書いてからだ。またやり直しだ。
そんなささやかな混乱の中、英訳するときに、過去の論文やインターネットを調べたがいかにしても解せぬ表現があったのだ。「止水条件」。止水条件とは、流水条件の逆である、とでも言えばわかりやすかろうか。要は、流れのない、淀んだ水で生き物を飼育した、と言いたいのである。はて、困ったものだ。
そこへ、講座内を放浪する癖のあるうちの教授が4年生部屋へふらりとやってきた。こりゃいかに。長年この世界に足を突っ込んでいる教授ならば、止水条件などという英訳は容易いものだろう。そう思い、思い切って聞いてみたのだ。
「止水条件って英語でなんて言うんですか?」
「お、真面目な話か。(←失礼な方である)えーと、ちょっと待てよ」
やはり、そこそこお年を召されている、ということもあり、頭の引き出しが錆び付いているようである。まあ仕方ない。ヒトは老いるものである。自然の摂理に文句を言ったところでどうにかなるわけではあるまい。
「still waterだ」
おお、なるほど。still にはそのような意味があった気がする。さすがは年の功。頼りがいがあるものだ。さっそく確認のため、辞書で still water と検索してみたのだ。すると。
【1】静水、静止流、流れの静かな川、淀
おお、おお、まったくその通りである。さすがは年の功。二度も言わせたか。おそれいった。
しかし、しかしである。次の瞬間、我が目には、実に微笑ましいものが映ったのだ。
【2】女性器への愛撫
女性器、とはこれいかに!どこをどう喩ふたらそのような意味になるのか。まったく不可解である。これだから欧米人の考えていることは、いつになっても読めぬのだ。かくいふ己は、欧米人の考えを読もうと思ったことなぞ、ただの一度もあらぬ。
教授がこれを知っていたかどうかは、今となっては計れず。しかし、知っていたのであれば、この意味とリンクさせてstill water を引き出してきた可能性は否定できず。老いたとはいえ、やはりあなたも漢(おとこ)であったか。幻滅である。これからは心の中で蔑んでやろうではないか。と、エロスな己はいふのであった。